「商用車の無機質な鉄板天井を、ログハウスのような温もりのある空間に変えたい」 車中泊カスタムを志す人なら、誰もが一度は抱く野望ですよね。僕もその一人でした。しかし、愛車のタウンエース(S402M)を前にして、最初は途方に暮れました。「これ、本当に自分でできるのか?」と。
タウンエースの天井ウッド化は、面積が広く、普段車のDIYなんてやらない人にとっては、DIYとしての&意識的な部分のハードルとして難易度は決して低くありません。でも、やり遂げた後の達成感、そして車内に一歩足を踏み入れた時の「木の香り」は何物にも代えがたいご褒美です。
この記事では、僕が妻と二人で試行錯誤し、数々のトラブルを乗り越えて完遂させたタウンエース天井ウッド化DIYの全工程を、地獄の失敗談も含めてすべて公開します。
タウンエース天井ウッド化の全体設計と準備
作業に入る前に、まず「どうやって板を固定するか」という根本的な仕様を決めなければなりません。ネットやYouTubeで先人たちの知恵を漁りまくった結果、タウンエースの施工方法は大きく2つの流派に分かれていました。
- 直接打ち込み方式:純正のルーフ補強バーにドリルネジ(金属用ネジ)でウッドパネルを直接固定する。

- 土台(下地)方式:補強バーにまず木材の土台を取り付け、そこにウッドパネルを打ち込む。

写真の通りですが、僕たちが選んだのは後者の「土台方式」です。
理由は2つ。まず、タウンエースの補強バーは意外と硬く、上を向いたまま金属にドリルネジを何十本も打ち込むのは、体力的に「地獄」が見えたこと。もう一つは、愛車にできるだけ穴を開けたくなかったからです。慎重派な僕としては、車の強度に影響が出る可能性(たとえ数ミリの穴でも)を最小限にしたかったんですね。
ただし、この方法については伝えておきたいリアルな注意点があります。土台を作るということは、その木材の厚み分、ルーフ高が数センチ低くなります。「たった数センチ」と思うかもしれませんが、元々荷室高がそれほど高くないタウンエースにおいて、この数センチの差は車中泊時の居住性にかなり直結することが実際に車中泊をしてわかりました。僕はあまり背が高くないのでセーフでしたが(背のわりに座高は高いですがw)、身長が高い方は「頭が天井に擦るリスク」を事前にシミュレーションしておくことを強くおすすめします。
①土台となる骨組みの作成:結束バンドでがっちり固定
土台の木材をどう固定するか? ここで僕たちが採用したのは、「結束バンド」です。
「えっ、結束バンドで大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、耐候性の強い太いタイプを使えば、ガッチリと固定できます。ここでも「車体を傷つけない」というこだわりを優先しました。

土台用木材の厚み選びについて
土台に使う木材は、1.3cm程度の厚みのものを選びました。 これには理由があります。タウンエースの天井は、よく見るとうっすらと「山なり」のカーブを描いています。1.3cmという厚みは、パネルを固定する際にルーフのカーブに合わせて木材を適度にしならせて固定するのに、絶妙なバランスだったんです。
キャビンと荷室で仕様を変える
僕のタウンエース(S402M)は、現行モデルと違って天井のカバーがない剥き出し仕様です。そのため、運転席(キャビン)から荷室まで一気にウッド化する必要があります。 ここで工夫したのが土台の向きです。
- 荷室:ウッドパネルを「縦」に貼るため、土台は「横」に設置。

- キャビン:ウッドパネルを「横」に貼るため、土台は「縦」に設置。

キャビン側の土台は、先端を運転席上部の隙間にグイッと差し込み、ルーフのカーブに合わせてしならせるようにして固定しました。このよく言うと「現物合わせ」、悪ういうと「行き当たりばったり」の作業が、DIYの醍醐味であり、最初のハードルでもありました。
②ウッドパネル(羽目板)の準備と、まさかの「廃盤事件」
素材として選んだのは「羽目板(はめいた)」です。 羽目板とは、板の側面に凹凸(実:さね)加工が施されており、隣の板と噛み合わせることで隙間なく、かつ頑丈に固定できる板のこと。車という振動の多い環境において、この「噛み合わせ」による強度は非常に重要です。

ワトコオイルによる「俺たちの色」作り
素材は安価なレッドパイン材。これに「ワトコオイル」を塗っていきます。 色は、以前自宅のDIYで使って余っていた「ダークウォルナット」と、新しく買った「ナチュラル」を5:5の割合でブレンド。名付けて「特性ミディアムウォルナット」です。(笑) 二度塗りしてしっかりと色を入れることで、安価な板がまるで高級アンティーク家具のような質感に変わっていく。この瞬間が一番楽しいんですよね。

ワトコオイルとは?
ワトコオイルとは、木材に染み込ませて仕上げる浸透型の木部用オイル塗料です。
木の表面に膜を作るニスやウレタン塗装とは違い、木の内部までオイルが浸透することで、木目や質感を活かした自然な仕上がりになります。
塗装後はしっとりとした手触りになり、木材の乾燥や汚れ、水分の侵入を防ぐ効果もあります。DIYでも扱いやすく、ムラになりにくい点も特徴です。※他のオイルや塗料よりちょっとお高い素材です。
【地獄】HOME’Sからの絶望的な電話
事件は、作業がノリに乗っていた時に起きました。 羽目板は近所のHOME’Sで何種類か売っていたのを確認してまして、、その中で一番安価だったレッドウッド羽目板を使おうと考えていました。

作業当日の朝、在庫10本の羽目板を買い、不足分を取り寄せ依頼して帰宅。塗装を終えたところに、HOME’Sから着信が。 「……あの、大変申し上げにくいのですが、その羽目板、廃盤でどこからも入荷できません」
「えええええ! 塗装しちゃったよ!?」
家にあるのは10本、必要なのは17本。かなり足りない。慌てて近隣店舗の在庫を調べてもらうも、横須賀まで行って数本手に入るかどうか。(データ上では多少あるそうですが、確実性がないとの事で)絶望しました。
結局、ネットの「レッドパイン専門店」を探し出し、似たサイズの板を発注。有効幅が1cmほど狭かったのですが、背に腹は代えられません。
尚、レッドウッドとレッドパインは全く別の樹種で、レッドパインは松科の木でレッドウッドは杉科の木だそうですが、僕たちはあんまり気にしませんでした(笑)普通は気にしたほうが良いと思うので、全部同じ材料でそろえましょうw
羽目板は絶対に必要枚数を一度に、在庫を確認して買うこと。 これ、僕からの最大のアドバイスです(笑)。

この件についてはあらかじめちゃんと確認してない僕たちの責任で、HOME’Sさんに責任は一切ありません。
③荷室部分の天井ウッドパネル化
足りない分の資材は後日にするとして、現在ある分で、いよいよ板貼りです。まずは荷室から着手しました。 ここでの最重要工程は「センター(中心線)出し」です。
出来れば神経質になりたいセンター出し
- フロント側:室内ライトの中心をセンターと定義。

- リア側:バックハッチのフレームの切れ目の真ん中をセンターと定義。

この前後2点を結び、レーザー墨出し器で各土台に中心線を書いていきます。1枚目の板がわずかでも斜めになると、端に行く頃には数センチのズレになり、取り返しがつかなくなります。ここは夫婦二人で、息を止めるような緊張感の中で作業しました。と、いうことは全然なくて、結構「まぁ、なんとかなるっしょ!?」くらいの気持ちでしたw

レーザー墨出し器とは?
レーザー墨出し器とは、床・壁・天井に水平・垂直の基準線をレーザーで投影する測定機器です。
目で確認しながら正確な位置出しができるため、従来の墨つぼや水準器よりも作業効率と精度が大幅に向上します。
DIYや内装工事では、壁材や羽目板の施工、棚や下地の位置決めなどに活躍し、まっすぐ・水平に仕上げたい作業には欠かせない道具です。
1枚目の固定と下穴の重要性
羽目板はパズルのようにハマるとはいえ、最初の1枚は誰かに支えてもらわないと絶対に固定できません。妻が押さえ、僕がネジを打つ。 ここで「下穴」が重要になります。羽目板は薄いので、いきなりネジを打つと高確率で割れます。面倒でも、細いドリルで下穴を開けてから木ネジを打ち込む。このひと手間が、結果的に時短になります。
安物木材との格闘
ホームセンターで買った安価な羽目板は、正直「歩留まり」が悪かったです。たわんでいたり、縦に「くの字」に反っていたり……。 「これ、入らないよ!」と焦る僕に、妻が「力で押さえなよ!」と檄を飛ばす。割れないギリギリの力加減で反りを矯正しながら、強引にネジで黙らせる。そんなパワープレイの連続でした。
後で聞いたのですが、店舗で売っているバラ売りの板は湿気等で反ってしまう事もあるそうで、必ずしも安価な素材が原因ではないみたいです。が、なかなか歩留まり悪いですね・・・

※ちなみに、ネットの「レッドパイン専門店」から届いた板は非常に真っ直ぐで扱いやすかったです。木材の質には、少しこだわった方が精神衛生上いいかもしれません(笑)。また、前述してますが、、元々HOME’Sで買った『レッドウッド』と追加で買った『レッドパイン』は全く別の樹種で、レッドパインは松科の木でレッドウッドは杉科の木だそうですが、僕たちはあんまり気にしませんでした(笑)普通は気にしたほうが良いと思うので、全部同じ材料でそろえましょうw
※尚、仕上がりは別にそんな気にならないです。
この素材についてはHOME’Sさんで販売していた素材の中でもあからさまに一番安い羽目板を選択した僕たちの責任で、HOME’Sさんに一切の責任はありません!
端部分の加工:妻の英断「半分に切っちゃえば?」
作業一日目はとりあえずある分の部材をルーフに取り付け。

荷室の端の列なのですが、隙間スペースや構造の関係で、1枚の長い板ではどうしても羽目板の「実(さね)」部分がうまく入りませんでした。 「どうしよう、入らない……」と沈む僕。 すると妻がサラッと一言。「これ、半分に切ってから入れたら? 誰も見ないよ」
「えっ、でも継ぎ目が……」と渋る僕。 「大丈夫、気にならないって!」という妻の根拠のない自信を信じ、板を真っ二つにカット。斜めに差し込んでみたら……あら不思議、きれいに収まったんです。完成してしまえば、目線より上の端っこなんて、本人以外誰も気にしません。疲労困憊の僕にとって、妻の「妥協の美学」は救いでした。

実際の最終的な仕上がりがこれ


④フロント側(キャビン)の天井ウッドパネル化
荷室が終われば、次は難関のキャビン(運転席上)です。 ここは荷室以上にカーブがキツく、しかもフロントガラス付近の隙間に板を差し込む必要があります。

必殺の雑採寸&妻の「端っこだけ別パーツで作っちゃえば?」
案の定、僕の「雑な採寸」はここで火を吹きました。 1枚目にセットする一番フロント側の加工。何度測ってカットしても、角のカーブに合わない。無理に押し込もうとして、貴重な羽目板をバキッと1本ダメにした時は、正直泣きそうになりました。
またもや妻が助け舟を出します。 「もうさ、端っこだけ別パーツで作って、タッカー(大きなホッチキス)でバチンと止めちゃえば?」
またもや「分割作戦」です。 プライドを捨てて板を短くカットし、現物合わせでパズルのように角を埋めていきました。最後にタッカーで固定しましたが、その無骨な針の跡が、逆に「DIYの味」としてカッコよく見えてきたから不思議です。
実際の仕上がり部分がこちら。


⑤最終工程:隙間処理とライティングの小細工
全ての板を貼り終えた時、キャビン(横貼り)と荷室(縦貼り)の境界に、大き目の隙間ができています。(一応これは予定どおりです)

この部分、コーナーのRがキツイ部分の木をうまく削ればきれいにはまっているかもですね。
見切り材で「プロの仕事」に見せる
この隙間を隠すために、薄い板を加工して「見切り材」を作りました。 角を少しだけ斜めに落として、本体と同じワトコオイルで塗装。これを隙間に被せるように取り付けると…… 「おお、作業前の想像よりだいぶいい感じだ!」 と自画自賛するほどの仕上がりに。将来的に、この見切り材にカーテンレールを仕込んで、キャビンと荷室を仕切る土台に使用かなとも思ってます。

LEDライトの落とし穴
仕上げに、Amazonで買ったUSB充電式のダウンライト風LEDを設置しました。

配線不要のマグネット式なので「これは楽だ!」と喜んでいたのですが、夏場に落とし穴がありました。車内が50度を超えるような猛暑日、マグネットの土台を固定していた両面テープが、熱でドロドロに溶けてライトが「ポロッ」と落ちていたんです。 現在は、超強力な車内用両面テープに張り替えて対策しています。

自然光のが良かったかもとか思いますが、そうすると更に暗かったかも。
実際車中泊に使ってみると、妻とのんびりしている時は薄暗くてムーディーな感じなんですが、実際に料理などの作業をしているとかなり暗いので、かなり光量の多いLEDランタンを一緒に使っています。近々、LEDテープライトを追加しようかと思っています。
実装したLEDライトですが、光量は弱いものの、マグネット式で取り外せるのは夜外にでる際のライトとか足下照らしたりだとかに結構役に立ちます。
まとめ:DIYは「木の香り」と「達成感」が最高のご褒美
何か所も予定外のトラブルはありましたが、終わってみれば大・大・大満足の仕上がりです!

今では、ドアを開けるたびにふわっと木材のいい香りがします。タウンエースという「鉄の箱」が、自分たちだけの「木の部屋」になった瞬間でした。ちなみに、この状態で一度車検を受けましたが、天井について指摘もなく、このままで車検を通っています。
自動車の運転席や客室に使用される内装材料は、火災時の安全確保のため、難燃性が求められますが、厚さ3mm以上の天然木材(合板を含む)は、そのままで難燃性の材料とみなされます。したがって、車検に関しても特別な難燃処理を施さずに使用することが可能です。
僕と同じDIY初心者の方に、僕からのエール
DIY初心者が車のDIYするってかなり心理的ハードル高く、最初は不安ですよね。僕もそうでした。 でも、タウンエースは失敗しても、それを「味」に変えられる懐の深い車です。木材が廃盤になっても、板を割っても、ちょっとした工夫で意外となんとかなります。というかそれが味なのかも。
完璧を目指しすぎず、楽しみながら「まずは1枚、貼ってみる」ことから始めてみませんか? その先には、どんな高級車でも味わえない、最高の達成感が待っていますよ!
この工程のポイント
- 羽目板はある程度良質なものを、必要枚数一度の購入しよう!(笑)
- 羽目板の荷室側サイズは長さ195cmならカット無しでいい感じになります。
- 板を打つ時はまず下穴を開ける事を徹底。
- 端のコーナー加工はなんだかんだ現物合わせでもOKだし、取付段階でセンターずれたりはあるので現場で微調整が必要なので、ヤスリなどは持っていた方が良い。
今回の作業で使った部材

レッドウッド羽目板(ホームセンターで購入)
幅:121mm、厚さ:12mm、長さ1950mm/価格帯:848円/本 ×在庫の10本購入
結局廃盤で足りなかった素材。

土台用板(ホームセンターで購入)
幅:42mm、厚さ:13mm、長さ1820mm/価帯:1,848円/10本セット
素材は『杉荒材』と書かれていたので杉のようです。

見切り用板(材木屋の端材を購入)
価帯:100円
材質はよくわかりません。

レッドパイン羽目板(ネットで追加購入分)
幅:112mm、厚さ:12mm、長さ1940mm/価格帯:4,400 円 +送料2,200 円/8本
一般的にはレッドウッドより安価とされているようです。使った感じは質感も悪くなく、加工も楽でした。


LEDライト
価格帯:3,000円前後
本格的なダウンライトを埋め込みしない場合にはこの手のUSB充電できるマグネット式のLEDライトが便利な気がします。

木工タッピングネジ
長さ:20mmくらい 価格帯:988円/270本入り
羽目板と土台の木材を止めるために使うネジは木ネジがおすすめです。
今回の作業で使った工具(必須)

木工ヤスリセット
価格帯:1,000〜3,000円
目の粗さが異なる複数のヤスリのセット。木材の角を丸めたり、細かなサイズ調整をしたりする際にかなり使います。
自宅で木材加工する際に使う工具
あったら便利なアイテム

ノミ
価格帯:500円〜
木材を彫るように削るための工具。あれば便利ですが、ヤスリなどでも時間をかければ代用可能です。
YOKOHAMA TA LIFE 







